前言撤回

タナカがおとどけする、ゆるふわ系徒然ブログ

あめとがまん

本日はお給金を受けとるために渋谷界隈まで足を伸ばしている。

例の二股をかけていた2号さんの方である。
あそこの給料は、今時の振り込みでもなく完全手渡しである。
しかも現地でいただけるのではなく、本社の方に出向いていかないとお給金を受け取れない。
極めて不便なシステムをとっている。
しかし、だからといって赴かなければ、せっかくのハードな労働が無駄になってしまう。
これはいけない。
と、先程まで思っていたのだが、意外と取りにいかないという選択しもありなような気がしてきた。
つまりこうだ、本来、私が働いた分のお金は私が受けとるはずである。
そしてそれを渡す可能性があるとなれば、常に本社にはそのお金があるのだ。そう、タグチマネーである。
しかし、このタグチマネーをいっこうにタグチ足る私は取りに行かない。
「今日は取りに来ませんねタグチ。せっかくもらえるはずのお給金を取りに来ないなんて、実は庶民の暮らしを覗きにきていたどっかの国の王さまとかんですかね?」
「そんなわけあるか。あんな日本人顔な外人がいたら俺はビックリするよ」
「それもそうか、、、たしかにそうですね。でも取りに来ませんよ?」
「それはあれだよ、事故に遭って今骨折してるんだよきっと。やむにやまれずってやつだな。」
「ああ、なるほど!それはありそうですね。いや、でも僕なら這ってでもお金取りに来ますけどね。そんな程度じゃないですよきっと。ガンとか、そういうヤバイやつですよきっと。さらに言うとご両親もきっともういないんですね。代わりに取りに来てくれる人がいない。。。今までずっと苦労してきたんですよ。学校でもちょっといじめられたりとかあって、お前んち親いないんだろ~とか言われた帰り道一人でブランコにぶら下がってるんですよ。夕暮れで延びてきた自分の影をボーッと眺めてるんですよ。そこに担任がやって来て、肩に手をおいてこう言うんです。「お前は一人じゃない」よかったらうちに住むか?なんて言ってくれるんですよ。それ以来二人で楽しく生活していたんですね。大学まではしっかり通わせてくれたんですけど、大学1年生の冬、先生がくも膜下出血で倒れてしまうんです。あれだけ良くしてくれてた先生ですよ、彼はもちろん先生に良くなってほしくて手術費用を出すことを決意したんですね。でも苦労して大学に送り出してくれた先生の気持ちも無下にできない。両立できるバイトってことでうちに来たんですね。そしてどうにかこうにか費用を捻出していた矢先に、今度は自分が倒れてしまう。それでも俺はまだ働かなきゃってうわ言でいってるんです。そうこうしているうちに一週間、今日になってしまったわけです。」
「(ずずっ)取りに来るのを待とうじゃないか。」
「待ちます!いつまででも待ちます!」

ってな感じになって、

「まだ、取りに来ねえな。」
「俺は涙が止まりません。」

という過程を経て、

「必ず墓参りには行こう」
「飛びっきりのフルーツ買ってきます!」

くらいまでになったとき、おもむろに行くのである。

「給料いただけますか?」

二人は号泣。3人で肩を抱き合って喜びを分かち合うのである。

とか。
電車のなかでにやにやしながら書いている私。
実際に着いたら、「そこのかご」とだけ言われて給与確認書をかごにいれる私。
待たされる私。

いやはや、滑稽で良い。